こちらのツイートをご覧ください。
製薬卸さんやメーカーさんも #空間除菌 と言う言葉を普通に使用するので一般の方は仕方ないと思いますが、空間除菌と言う言葉すら医学的に存在しません。
やらないよりはやって損はないだろうで身体に害をきたす例です。何を信じればと思ってしまいますが健康に関して過剰なテレビCMは多いです。 https://t.co/qKEgWfylyi
— 西真岡こどもクリニック (@nishimoka0404) January 18, 2021
こののツイートは、2021年1月18日のものです。
ある大学の小児科が公式アカウントで、新型コロナウイルス対策として空間除菌することに否定的な見解を示したところ、あるクリニックの院長が、やはり空間除菌について「医学的に存在しない」「体に害をきたす」とネガティブな発言をしています。
この記事では発言者の固有名詞は伏せましたが、大学小児科のアカウントも、クリニックのアカウントも正規のものでした。
つまり、複数の医師が、コロナの空間除菌を否定していることになります。
この2者の主張を誤解しないようにしてください。
つまり、コロナに感染した人がいた空間を除菌しないほうがよい、と理解しないでください。
なぜなら、空間除菌はコロナ対策で必要だからです。そして例えば、オゾンを使った空間除菌には確かな実績があります。
では、上記の大学小児科とクリニック院長が間違った発言をしているのかというと、そうではありません。
では、何が真実なのでしょうか。
もくじ
結論:効く空間除菌と効かない空間除菌がある
先に結論を紹介します。
- そもそも空間除菌を誤解している人がいる
- 空間除菌できない方法を「できる」と宣伝した企業がたくさんあった
- オゾンにはコロナ汚染された空間を除菌した実績があり、現在も使われている
「汚染された空間を簡単に除菌できる」と宣伝している製品が存在し、空間除菌を否定している医師は、この考え方を批判しています。
それは正しい見解で、コロナに汚染された空間を除染することは簡単ではありません。
したがって、「効果がない空間除菌が存在する」と指摘する冒頭のツイートは、真摯に受け止める必要があります。
しかし、コロナ感染が発生した事務所などの空間は、除菌しなければなりません。
そして、オゾンは、コロナに汚染された空間の除菌に使われていて、実績もあります。
「効果がない空間除菌は行なわないで」ということと、「効果がある空間除菌を実行しましょう」ということをお知らせするのが、この記事の目的です。
そもそも空間除菌を誤解している人がいる
空間除菌について、誤解している人は少なくありません。
例えば、除菌成分の粒が空気中を飛び回って、空気中に蔓延しているコロナを食べてくれるわけではありません。
人の免疫の知識があると、このようなイメージを持つかもしれません。免疫機能では、白血球が、がん細胞を探し出して攻撃します。
しかし、除菌成分にはそのような機能はありません。
除菌成分や殺菌成分は、ウイルスや菌などの病原体に接触したときに、それらを破壊する力があるだけです。
*1:https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/immunotherapy/immu02.html
パナソニックは「付着した」ウイルスの除菌を重視している
パナソニックのジアイーノという製品は、次亜塩素酸を使ってウイルスを退治する空間除菌脱臭機です(*2)。このような説明を聞くと、やはり「空間に漂うウイルスを攻撃する」というイメージを持つかもしれませんが、そうではありません。
パナソニックは、空間を漂い終えたウイルスが、室内の物に付着したあとに除菌することを重視しています。
パナソニックの公式サイトでは、ジアイーノの機能を以下のように説明しています。

出典:https://panasonic.jp/ziaino/effect.html
パナソニックは以下のように、付着菌の除菌性能をPRしています。
次亜塩素酸で付着菌と浮遊菌の両方を清潔除菌する、と書かれていますが、実際に18畳の居室で除菌性能を検証したのは、物に付着した菌です。パナソニックは、付着菌が12時間で99%除菌できたとPRしています。
決して、次亜塩素酸が浮遊中の菌を捕まえて除菌した、とは説明していません。
*2:https://panasonic.jp/ziaino/effect.html
それでも空間除菌は十分意味がある
もちろん、空中に散布した次亜塩素酸の粒が、空中に漂うウイルスや菌に接触して殺す確率はゼロではないでしょう。しかしそのような「空中キャッチ」を実験などで確認することは難しく、その実態を把握することは容易ではありません。
一方で、浮遊し終えたウイルスや菌がテーブルの上やドアノブなどに付着して、それが、次亜塩素酸の散布後にどれだけ減ったかは、しっかり測定できます。
パナソニックは、それを測定して「空中除菌できた」とPRしているのです。
付着ウイルスを除菌すれば、立派な空間除菌です。
なぜなら、室内の空中に漂っているウイルスも、室内の物に付着したウイルスも、どちらも人間の脅威になるからです。除菌成分を空中に散布して、それが付着ウイルスを殺せば、その空間の安全性は高まります。
以上の内容をまとめると、次のようになります。
- 除菌成分が空中でウイルスをキャッチして殺す、といったイメージは期待しすぎ
- 効果が実証されている除菌成分を空中に散布すれば、付着したウイルスをしっかり退治することができる
- 部屋のなかのウイルスや菌を殺すので、空間除菌は十分意味がある
ではなぜ一部の医師たちは空間除菌を否定的にみているのでしょうか。
それは空間除菌には「前科」があるからです。それを次の章で解説します。
空間除菌できない方法を「できる」と宣伝した企業がたくさんあった
日本経済新聞のこちらの記事をご覧ください(*3)。
空間除菌」根拠なし 消費者庁、17社に措置命令
日本経済新聞、2014年3月27日付け二酸化塩素を発生させるグッズを部屋に置いたり首に掛けたりするだけで「空間を除菌できる」とうたった宣伝には根拠がなく、景品表示法違反(優良誤認など)に当たるとして、消費者庁は27日、販売する17社に再発防止などを求める措置命令(行政処分)を出した。
出典:日本経済新聞
これは、コロナ禍のはるか前の2014年に起きた出来事ですが、これによって「空間除菌意味ない」説が確立されてしまいました。
それでコロナ禍で除菌の必要性が高まったとき、「そういえば空間除菌は問題が多かったはずだ」となったのではないか、と推測できます。
この問題を検証していきます。
*3:https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG27056_X20C14A3CR8000/
宣伝文句が大袈裟すぎた
消費者庁が「空間除菌できる根拠がない」と認定した17社の製品は、いずれも二酸化塩素を出すものでした。
二酸化塩素は強い酸化力を持ちます。酸化力は、ウイルスや菌を殺菌、除菌する力になります。それで二酸化塩素は、プールの水の消毒や紙製造におけるパルプの漂白などに使われています(*4)。
したがって二酸化塩素には、空間除菌問題の「責任」はありません。
ではどこに責任があったのでしょうか。
問題の製品をつくっていた17社のなかには、「ポンとおくだけ! 空間に浮遊するウイルスを除去」という宣伝文句を使っている会社もありました(*3)。また、首にかけた容器から二酸化塩素を散布して感染を防ぐ、という商品をつくりました。
消費者庁は、実際の生活空間で、この宣伝文句とおりの効果が出ないと判断し行政処分を下しました。
そして各社は、消費者庁の行政処分にしたがっています。
宣伝文句とおりの効果がないことを認めたことになります。
これが「空間除菌は意味がない」という間違った説をつくってしまった経緯と考えられます。
「間違った空間除菌は間違い」であり「正しい空間除菌は正しい」といえます。
次の章で、正しい空間除菌を紹介します。
*4:http://chlorinedioxide.or.jp/clo2
オゾンにはコロナ汚染された空間を除菌した実績がある
コロナ殺菌が実証されている除菌剤を使って、正しく空間除菌すれば、コロナ対策になります。
オゾンの研究者や、オゾン発生器の開発者たちは、オゾンにコロナを殺菌する効果があることを実証しました。
そして、コロナに汚染された事務所などの空間を除染している清掃業者は、オゾンを使っています。
オゾン発生器メーカーの意地
オゾンのコロナ殺菌能力を証明した有名な実験があります。
奈良県立医科大学は2020年5月、世界で初めて、コロナに新型コロナウイルスを不活化させる効果があることを実験で証明しました(*5)。不活化とは、死滅させるという意味です。
この実験結果は多くのマスコミで紹介され、「コロナ対策といえばオゾン」という認識が確立しました。
オゾンはコロナ禍前から、インフルエンザウイルスやノロウイルスを殺菌する効果が知られていて、医療機関や介護施設、食品工場などが、オゾンを空間に充満させる除菌法を採用していました。
そのため、コロナ禍が問題になった当初から、オゾンならコロナを退治できるのではないか、と考えられていました。
奈良県立医科大学のオゾン実験には、オゾン発生器メーカーのタムラテコも参加しています。
世界保健機関(WHO)が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行をパンデミック(世界的大流行)と認めたのは2020年3月です(*6)。その2カ月後にオゾンにコロナを殺菌する効果があることを世界中に公表できたのは、オゾンに携わってきた人たち意地もあったでしょう。
*5:https://www.naramed-u.ac.jp/university/kenkyu-sangakukan/oshirase/r2nendo/documents/press_2.pdf
*6:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/030300146/
オゾンでコロナ感染した部屋を燻蒸(くんじょう)する
害虫駆除などの目的で、空間を密閉して気体状の薬剤を充満させる方法を燻蒸(くんじょう)といいます。
コロナに汚染された事務所などの除染では、オゾンを使った燻蒸が行われています(*7)。まさにオゾンを使った空間除菌です。
そしてオゾンを使った空間除菌を行っているのは、日本で初めてコロナが社会問題になった、豪華客船ダイヤモンドプリンセス号を除染した清掃業者です(*7)。
オゾンの空間除菌には、これだけの実績があります。
*7:https://www.riskbenefit.co.jp/business/covid19/
汚染空間を除染する手順
清掃会社が、コロナ感染が起きた事務所などを除染するときの手順は次のとおりです(*7)。
人の手で作業します。
オゾンを使った空間除菌は、この会社以外の清掃業者でも使っています(*8)。空間除菌を清掃業者に依頼するときは、オゾン燻蒸が作業メニューに入っているかどうか確認したほうがよいでしょう。
*8:https://www.allone-inc.jp/service/sars.htm
まとめ~正しい情報は得にくい、と覚悟しよう
コロナ禍は、過去に類をみない緊急事態です。そのため、コロナ関連の情報は簡単に錯綜します。
空間除菌問題も、情報が錯綜したことが原因で起きました。空間除菌の効果がない商品が出回ったことで、空間除菌自体に「意味がないという容疑」がかかりました。しかも、空間除菌の効果がない商品が出回ったことを認定したのは、行政機関です。
しかし、空間除菌に意味がないという認識は正しくありません。オゾンを使った空間除菌は、コロナ除染の重要手段の1つになっているくらいです。
コロナ禍では正しい情報が得にくい、と理解して、正しい情報を求め続けなければなりません。