オゾン発生器は体に悪い?危険性や健康被害の可能性を教えてください

オゾン発生器は体に悪い?危険性や健康被害の可能性を教えてください

オゾン発生器(全般)の正しい使い方・適切な機器の取扱い(製品固有)をすれば至って安全です。

一方、そうしなければ危険ですし、体調不良など何らかの健康被害につながる可能性はあります。しかし、それは空気清浄機や加湿器など、ほぼすべての電化製品にも同様のことが言えます。

オゾン発生器が体に悪いのであれば、間違っても病院などの医療施設や、高齢者介護施設でオゾン発生器が使用されることは絶対にないでしょう。しかしながら、現実には使用されていますし、コロナ騒動以降、オゾン発生器の需要は50倍、100倍になったとも言われています。

需要の拡大について
実際に、NHKでタムラテコのオゾン発生器が紹介された際、同社社長の田村さんは「毎年1,000台近い出荷数の製品が、この1,2ヶ月で12万台(の受注)」とおっしゃっていました。これだけみても120倍の需要に膨れ上がっていることが分かります。

オゾンやオゾン発生器のことをあまりよくご存知でない方のなかには「よく分からないが、オゾン発生器は体に悪そう…(なイメージ)」こう思われる方もいると思います。

まず、オゾン発生器に興味を持っていただけたことを嬉しく思います。
それと同時に、このお問い合わせの裏には「危険性がないなら使ってみたい」「安全性や効果が高いなら導入したい」という質問者様の思いが見え隠れします。
ですから、この記事はそのような人たちが、これを読んで不安を解消し、「なるほど!」「そういうことか!」と納得していただけるような内容にしたいと思います。

「体に悪い」可能性を切り分けて考えてみる

たとえば、「加湿器が体に悪いのか」と考えた場合、「1.そもそも加湿することは体に悪いのか」「2.その加湿器は安全性が確保されているのか」という2つの問題に切り分け、この2点に問題がなかった場合に限って、「加湿器は体に悪くない」という答えを導き出すことができます。

ですから、「オゾン発生器が体に悪いのか」という問題についても、これと同じように考えてみたいと思います。

オゾンは体に悪いのか

「◯◯は体に悪いのか」と考えた場合、実はこの◯◯に何を当てはめようと正しい答えを導き出すことはできません。

えっ、水とかは? この◯◯に「水」と入れたら、この文章は特に問題なく、成り立つのでは?
いえいえ、たとえ水であったとしても、摂取する水量により、安全なこともあれば、危険なこともあります。急に多量の水を摂取すれば、最悪は「水中毒」で死亡例がたくさんあります。

オゾナビ運営事務局

なるほど。でも、私たちが日頃から吸っている酸素とかでも?
残念ですが、酸素も量によります。酸素も過剰摂取すれば、身体に様々な異常を発し最悪の場合は死に至ります。(スクーバダイビングなどの潜水時に起こったりします)

オゾナビ運営事務局

なら逆に、よくテレビの毒殺シーンなどで見かける青酸カリ?とかなら、量に関係なく無条件で体に悪いし、危険なのでは?
猛毒のイメージが強い青酸カリは、化学の世界では「シアン化カリウム(KCN)」と呼ばれます。ラットの数値をそのまま人に当てはめて考えても体重60kgの人間の致死量は300mg程度です。これがラットではなく、人であることを考慮すれば、10倍程度は必要になると考えられます。3g=1円玉3枚分=小さじ一杯満載(結構な量です)。ですから、わずか数mgの少量なら無害の可能性が高いです。

オゾナビ

つまり、体に良いor悪い・安全or危険というのは「量」が決めているのです。
これはオゾンや水、酸素などだけではなく地球上すべての物質に共通して言えることなのです。

ということで、この項の結論は「オゾンが(も)体に悪いかどうかは量による」ということになります。
人やペットにとって、オゾンの安全な量・危険な量については後述します。

より詳しく知りたい人は、この記事が読み終わったら下の参考記事を読んでみて下さい。
<参考記事>
オゾンとは
オゾンをフェアに評価すると「危険」だが「超安全」となる

そのオゾン発生器は安全性が確保されているのか

これは製品固有の情報になりますので、一概には言えませんが、結論を言ってしまえば、「安全な製品がほとんどだが、なかにはそうでないものもある」ということになります。
特にここ最近で目立つのが、コロナ禍において急激にオゾンの認知度が高まるなか、これまで見たことがない海外メーカーや国内の販売店がオゾン発生量の表記もなく「家庭用オゾン発生器」などとして販売されていることです。

先ほど、「オゾンが体に悪いかどうかは量による」とお伝えしたように、量が分からなければその安全性を確認しようがありません。
よって、そのような製品は安全性を確認できない=危険かもしれないということになります。
しかし、裏を返せば、信頼と実績があるメーカーの製品を選べば何も問題ありません。

オゾンの安全な量・危険な量

オゾンの安全な量・危険な量というのは、「オゾン濃度」として表されます。

濃度とは
一定量の液体や気体の中にある、その成分の割合。

そして、このオゾンの安全な量・危険な量というのは、人(ペット含む)がいる「有人環境」なのか、人がいない「無人環境」なのかによって異なります。

ですから、環境別にご説明します。
今これを読まれているあなたが、導入を検討しているオゾン発生器を「有人環境」で使用するのか「無人環境」で使用することを想定しているのか分かりませんが、オゾン発生器を扱ううえでオゾン濃度はとても大事なポイントになりますので、よく読みご理解いただければと思います。

人やペットがいる有人環境において安全なオゾン濃度基準

こちらの『オゾンの「危険レベル=安全レベル」とは』でも書きましたが、有人環境では、日本産業衛生学会が定めた作業環境基準の許容濃度が「0.1ppm」とされています。これより濃いと危険で、これより薄いと安全(健康の害なし)となります。

0.1ppmと言われても、よく分かりません…何か判断基準のようなものがあれば教えて下さい。
たしかにそのとおりですね。厳密なオゾン濃度を知りたい場合、オゾン濃度測定器が必要ですが、専門業者でもない限り、そのような機器はお持ちでないと思います。0.1ppmというと、ほとんどの人が鼻、のどへの刺激を感じる濃度です。ですから、それを基準に0.1ppmという濃度をイメージしていただければと思います。

オゾナビ運営事務局

とはいえ、たとえそのオゾン濃度環境下に人やペットがわずかな時間いたからといって、それが直ちに健康被害につながるわけではありませんので、ご安心下さい。
「鼻やのどへの刺激を感じる環境下に長時間滞在しない」「鼻やのどへの刺激を感じたら、すぐに退避する」この2点だけ覚えておけば問題ないでしょう。

有人環境で使用するオゾン発生器
一般的に人やペットがいる環境で使用するオゾン発生器のオゾン発生量は少量であり「家庭用オゾン発生器」と呼ばれます。ほとんどの家庭用オゾン発生器では、適用範囲が明確に表示され、室内のオゾン濃度が0.05ppm以下になるように設計されていますので、製品選びさえしっかりすれば、さほど心配する必要はないでしょう。
※ただし、オゾン発生量が表記されていないような製品についてはこの限りではありません。

あ.あの…念のためお聞きしますが、過去に家庭用オゾン発生器で死亡事故などの例はありますか?
いえ、ありません。たとえば、加湿器では日本国内・海外で死亡事故がありましたが、空気清浄機やオゾン発生器では今のところ1件も報告がありません。

オゾナビ運営事務局

ほ。なるほど。安心しました。(それにしても加湿器では過去に死亡事故があったんですね…意外です)

人やペットがいない無人環境において安全なオゾン濃度基準

驚かれるかもしれませんが、実は基準がありません。
先ほどの日本産業衛生学会が定めた作業環境基準の許容濃度「0.1ppm」というのは、あくまでも人がいる環境においての基準です。この基準が作られたのは30年以上も前ですが、当時の労働環境は、オゾン濃度が比較的高い場所でも作業をする場面が少なくなかったため、作業者の安全を確保するためにも、この作業環境基準が設けられました。

そして、当時から今日まで「オゾンを利用した無人環境作業における安全な濃度基準」というのは設けられていないのです。

銀イオンを主成分とするくん煙剤

出典:Room Clip

たとえば、お風呂場のカビ取りで知られる「くん煙剤」ですが、あの煙の主成分は銀イオン(Ag)です。
銀イオンは、食器や制汗剤などに使われている身近な成分であり、比較的安全性が高いとされています。

銀イオン(Ag)の安全性
なかには銀イオンが金属アレルギーを引き起こしたり、化学物質過敏症の人にとっては安全でないこともあります。

あのくん煙剤を人が直接吸い込めば、あるいは吸い込み続ければ、健康被害があります。

では、銀イオンを主成分とするくん煙剤を使用する際、濃度に関して安全基準などあるのでしょうか。
いえ、特に安全基準はありません。
理由は「人がいない無人環境で使用するため、安全基準を設ける必要がないから」です。

作業が終わった際、お風呂場に行ってみると、くん煙剤の独特のニオイがしますよね?
そのときに、少なからず銀イオン成分を吸い込んでいます。しかし、その程度では一切害はありません。

つまり、微量を吸い込んでも、それが直ちに健康被害につながらない物質であり、かつ無人環境で作業を行う場合、安全は十分確保されているわけで、わざわざ安全基準を設けるまでもないということです。


無人環境時におけるオゾン濃度の安全基準が設けられていない理由

無人環境時におけるオゾン濃度の安全基準が設けられていない大きな理由のひとつとして、「人や動物がいない環境でオゾン濃度がある程度高濃度になっても、時間経過とともにオゾンは酸素に戻るし、そもそも健康被害を受ける人や動物がそこにはいないから」という点が挙げられます。

たとえば、ヨーロッパなどでは、オゾンの認知度が高く、治療から一般的な殺菌消毒作業まで実に幅広く利用されています。(一般家庭にもかなり普及しています)
なかでも、オゾン先進国と言われているフランスでは、無人環境だけではなく、有人環境においても「安全な濃度基準」が設けられていません。
基準が設けられていない理由は、2つあります。

  • アルコール同様、オゾンも人によって害となりえる濃度が異なるため、一律に基準を設けるのは適切ではない。
  • オゾンには特有のニオイがあり、刺激(刺激臭等)を感じれば、人間は危険を察知して回避(退避)することができる。

「なるほど」と思いますよね。
たしかに、コップ1杯で酔っ払ってしまう人もいれば、驚くほどたくさん飲んでもへっちゃらな酒豪もいるわけで。。
アルコールも過剰摂取するなど、場合によっては急性アルコール中毒で死亡例がたくさんあります。それなのに、これ以上は安全・危険という基準などは特に設けられておらず、個人の判断に委ねています。

つまり、人間は危険を察知して十分回避することができるし、仮にその察知が多少遅れた場合でも、少量のオゾンを吸い込んだからといって、それが直ちに健康被害につながるものではない、ということです。

それに、オゾンが体に悪いレベルというのは「0.1ppm以上のオゾン濃度のなか、のどの痛みや咳などの症状を一切無視して長時間そこに滞在しつづけた場合」に限ります。
刺激臭を感じるなどしても、その場に滞在しつづける人は普通はいません。実際に、そういう人がいないからこれまで事故の報告例がないものと考えられています。

無人環境ではどの程度のオゾン濃度で作業されている?
業務用オゾン発生器(無人環境)を使った殺菌消毒では、0.1〜0.9ppmで「除菌レベル」、1.0ppm以上で「殺菌レベル」とされ、特殊清掃作業では2.0ppm以上のオゾン濃度で作業が行わているのが一般的です。

オゾンの考えられる健康被害

0.1ppm以上のオゾン濃度の空間に人や動物が(何らかの症状があってもそれを無視して)滞在しつづけた場合、のどの痛み、咳、頭痛、視力の低下などの健康被害が想定されます。

ちなみに、「0.1ppm」という濃度は、「正常者が不快に感じる濃度」とされますが、実際のオゾン濃度が0.1ppm以上であろうと以下であろうと、「不快」に感じたらそれがあなたの身体にとって「オゾンが体に悪いかどうかのライン」である可能性が高いです。そのため、「不快に感じるかどうか」をあなた独自の基準とすることがもっとも望ましいでしょう。(それが多くの人にとって0.1ppm)

また、非日常的(※)な数値ではありますが50ppm以上のオゾン濃度環境に一定時間滞在すれば、死に至る可能性もあります。
※研究施設の特別な装置など

オゾン発生器で体調不良の報告は?死亡事故は?

オゾン発生器で死亡または死亡につながる恐れがあった重大な事故は、これまで1件もありません。

稀に、当サイトにも体調不良に関する(不安への)相談が届きます。しかし、実際に「体調不良を訴える内容」は今のところ1件もありません。

ただ、だからといって本当に1件も存在しないなどとは考えておらず、体質や影響には個人差もあることから、オゾン発生器に限らず、加湿器や空気清浄機同様、稀なケースではありますが、機器の使用が原因で体調不良になることもあるかもしれません。

まとめ〜オゾン濃度(業務用/家庭用)と製品の信頼性を見きわめよう

重要な話題のため、長文の記事になってしまいましたが、最後にまとめたいと思います。

【共通】
オゾン発生器が体に悪いかどうかというのは「オゾン濃度」による。

【家庭用オゾン発生器/有人環境】
安全基準は「0.1ppm」を上限に考えるが、個人差があるため、刺激臭や不快に感じたラインを自分の安全基準と考えるのが良い。
オゾン発生量が表記されていないオゾン発生器は購入しない。
ほとんどの家庭用オゾン発生器には「適用範囲」が設けられ、室内空間のオゾン濃度が0.05ppm程度以下になるように設定されているため、適用範囲を守って使用すれば安全。

【業務用オゾン発生器/無人環境】
安全基準は特にない。
家庭用オゾン発生器とは異なり、オゾン発生量が多量のため、絶対に人や動物、観葉植物などは退避させて作業を行う。
0.1〜0.9ppmで「除菌レベル」、1.0ppm以上で「殺菌レベル」とされ、特殊清掃作業などでは2.0ppm以上のオゾン濃度で作業が行われているのが一般的。

【結論】
つまり、製品の安全性が担保されているという前提で、用途別(家庭用と業務用)に、上記のことを守って使用すれば「オゾン発生器は体に悪くない」ということになり、逆に、これらのことを一切無視して使用すれば「オゾン発生器は体に悪い」と言えるでしょう。

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