少なくても現在日本で販売されているイオン発生器と呼ばれるほとんどの製品は、実質的に(超)低濃度オゾン発生器と何ら変わりません。
質問者様から頂戴したお問い合わせ内容をよく確認すると、アフターコロナを見据えて、今ご自宅でお使いの空気清浄機とは別に、イオン発生器かオゾン発生器の購入を検討しているとのこと。
「オゾン」「イオン」どちらもカタカナ3文字ですし、巷ではイオン発生器がオゾン発生器として売られていたり、その逆もまた然り。一般の方にとっては、たしかに分かりづらいかもしれません。
以下、イオン発生器について詳しく解説します。
もくじ
イオン発生器とは
イオン発生器はその名のとおり、イオンを発生する機器です。
「イオン発生器」「イオン発生機」「イオン発生装置」これらはすべて同じ機器を指しています。イオン発生器の「業務用」はほとんど存在せず、主に一般家庭で利用される「家庭用」がメインになります。
また、「イオン発生器」と独立した機器で使用されることもあれば、空気清浄機の1つの機能として「イオン機能」が搭載されているケースもあります。(プラズマクラスターやナノイーなど)
こちらの記事ではオゾンとイオンの違いをわかりやすく解説しています。
保護中: オゾンとイオンはどう違いますか?
イオン発生器は菌やウイルスに効果があるのか
残念ながら、イオン自体が特定の菌やウイルスに効果を示す強いエビデンスはありません。
ただし、日本感染症学会によって、イオン発生器や空気清浄機を使用する際、副次的に発生した微量のオゾンが菌やウイルスを殺したり不活化(感染できない状態にすること)することが分かっています(強いエビデンス)。
詳しくは「空気清浄機で何ができない?〜空気清浄機が苦手なこと」をご覧下さい。
イオン発生器や空気清浄機のイオン機能で副次的に発生するオゾン発生量はどのくらい?
イオン発生器やイオン機能搭載の空気清浄機が副次的に発生するオゾンはきわめて微量のオゾンです。
さまざまなご意見はありますが、その量は0.01〜0.20mg/hr程度と言われており、少なくても1.0mg/hrを超えることはありません。家庭用オゾン発生器は、1.0〜5.0mg/hr程度で「低濃度オゾン発生器」と呼ばれていることを考えれば、イオン発生器のオゾン発生量は「超低濃度」だと言えます。
正直、そのオゾン量で効果を期待するのは無理があるというもの。
ほとんど意味がありません。
首掛けのイオン除菌グッズは効果がありますか?
まったくありません。
証明していないことを言い切るのはあまりよくありませんので、100%ではなく「99.9%意味がない」としておきます。
イオンというのは状態を指す言葉で、何とイオン化しているのかということが示されていない以上、その効果を推測することもできません。
イオン発生器の寿命はどのくらい?
各製品で異なりますが、概ね1〜3年程度の製品が多いようです。
イオン発生器はタバコ臭に効果があるのか
まったくありません。
理由は、タバコ臭を分解するわけでも、吸引・換気をするわけでもないからです。
ただし、イオン機能搭載の空気清浄機で、空気清浄機能と同時に機器を稼動させた場合は、多少の効果は期待できます。(あくまでも空気清浄機能に意味がある)
イオン発生器はコロナに効果があるのか
先にも説明したとおり、副次的に発生した微量のオゾンが新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を不活化したとしても、オゾンの量が微量のため、その効果はかなり限定的なものになります。
ただ、奈良県立医科大学の研究によって、オゾンが新型コロナウイルスを不活化することは分かっていますので、高い効果を望む場合は、イオン発生器ではなく、オゾン発生器を導入されてみてはいかがでしょうか。
結局、イオン発生器は購入すべき?
イオン発生器の購入はおすすめしません。
理由は、イオン発生器と呼ばれる機器の空気清浄機能とオゾン放出量が、中途半端過ぎてそれぞれが役に立たないレベルだからです。
よって、
1)イオン発生器ではなく、家庭用オゾン発生器を購入する
2)イオン発生器もオゾン発生器も購入しない
のどちらかがいいと思います。
もし、あなたが今、空気清浄機を1台も持っていないということであれば、あくまでも空気清浄をメインに考え、プラズマクラスターやナノイーなどのイオン機能搭載のハイグレードな空気清浄機の購入を検討することは決して悪いことではありません。
空気清浄機は大変優れた機器であることは明らかですから、むしろ1台持っておくことをおすすめします。
ただ、菌やウイルス対策としての効果を過度に期待して、イオン機能搭載の空気清浄機やイオン発生器を購入することは、その期待は裏切られるので、やめたほうがいいでしょう。
その理由は、本記事にも書いたとおり、イオン発生器やイオン機能搭載の空気清浄機が菌やウイルスを殺菌したり、不活化しているのは副次的に発生しているオゾンであり、そのオゾンがきわめて微量であるため、殺菌や不活化という効果はほとんど期待できないことがわかっているからです。