【オゾン】180年の歴史と50年の開発がコロナ禍での活躍を支えている

【オゾン】180年の歴史と50年の開発がコロナ禍での活躍を支えている

オゾンは、新型コロナウイルス感染対策になる除菌ツールとして突如脚光を浴びたようにみえますが、その背景には180年の歴史と50年以上に及ぶ開発があります。

ドイツ出身の化学者、クリスチャン・フリードリッヒ・シェーンバインがオゾンを発見したのが1839年(1840年という説もある、*1-1、1-2)。
日本の大手機械メーカーがオゾン発生機の開発を始めたのが1970年ごろです(*1-3)。

長年にわたって世界中で研究されてきたからこそ、コロナ禍が始まってすぐにオゾンを実戦投入できたわけです。
コロナ禍において、オゾンがどれだけ頼りになるかを確認するために、その歴史を振り返ってみましょう。

*1-1:https://kotobank.jp/word/%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%B3-72214
*1-2:https://www.metsoc.jp/tenki/pdf/1999/1999_02_0053.pdf
*1-3:https://www.spp.co.jp/category/ozone/public/index.html

まず誤解を解く

まず誤解を解く
オゾンの有用性を証明する前に、オゾンに対する誤解を解いておきます。

消費者庁は2021年7月、オゾン除菌消臭器のメーカーに対し、景品表示法に基づく措置命令を出しました(*2-1)。
このメーカーは「20畳までの空間を快適空間に、オゾンでウイルス除去を徹底サポート」などと宣伝しましたが、消費者庁は「その宣伝の裏づけとなる合理的な根拠がない」「その宣伝は、一般消費者に対し実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反する」としました。
これに対し大手新聞社は「除菌消臭器、『コロナに効く』は根拠なし」などと報じました(*2-2)。

この経緯だけをみると、オゾンにはコロナを叩く力がないのかと疑問に思うかもしれませんが、その認識は正しくありません。
オゾンがコロナを不活化(死滅)させることは、奈良県立医科大学や藤田医科大学が証明しています。その内容は以下の記事で確認できます。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に関するオゾンのエビデンス

したがって、オゾンがコロナに効くのは事実です。
ではなぜ、消費者庁は措置命令を出したのでしょうか。

*2-1:https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_210728_1.pdf
*2-2:https://www.asahi.com/articles/ASP7X671CP7XUTIL040.html

メーカーの反論には合理性がありそう

このオゾン除菌消臭器メーカーは、措置命令が出たあとも、オゾンがコロナに効く事実を疑っていません。また、「20畳までの空間を快適空間にオゾンでウイルス除去を徹底サポート」という宣伝にも問題がないという認識を示しています(*2-3)。

消費者庁は、1)メーカーによる実験は狭い空間で行なわれたものであり、20畳の空間で行ったものではない、2)20畳の空間で実験をして効果を証明できなければ、20畳での効果をうたうことは不適切である、と考えています。
しかしこのメーカーは次のように反論しています。

  • 試験空間(狭い空間)にコロナを付着させたシャーレを置き、オゾン除菌消臭器でオゾンを発生させ、濃度を0.023ppmに保ち24時間後に確認したところ、コロナは不活化していた
  • シャーレに付着したコロナを不活化できれば、空間に浮遊するウイルスにも同等以上の効果が出ることを確認している
  • このオゾン除菌消臭器は、住宅の20畳の空間と、オフィスの23畳の空間において、オゾン濃度を0.023ppm以上にすることができることを確認している
  • この実験方法で「問題ない」ことは、日本オゾン協会の見解と合致する

日本オゾン協会は、東京都中央区にある特定非営利活動法人で、三菱電機や住友精密工業、東芝インフラシステムズといった企業が会員になっている、国内のオゾンの権威といえる組織です。このメーカーももちろん会員になっています。
このメーカーの実験方法は、日本オゾン協会の「試験空間でのオゾン効果を実使用空間に適用するための条件」に沿って行われたものなので、問題ないと考えてよいでしょう。

ではなぜこのメーカーは、実際の20畳の空間を使って、オゾン除菌消臭器の効果を試さなかったのでしょうか。その答えは明確で、危険だからです。
メーカーは次のように述べています。

  • 現状、新型コロナウイルスについては、バイオセーフティ(生物学的安全性)上の観点から、実空間における試験を行うことができません(*2-3)

それはそうでしょう。
どこかの20畳の空間にコロナを散布してオゾンの効果を試すのは現実的ではありません。もし、本当にそのような実験をしてコロナが外部に漏れてクラスターが発生したら、大問題になるでしょう。本物の20畳の空間を使ったコロナ実験は、倫理的に許されるものではありません。

そうであるならば、狭い空間(試験空間)で効果を確かめ、さらに、同じことが20畳の空間で起こりうることを確認できた段階で、「この商品は信頼できる」と判断するのは合理的なような気がします。

では、オゾンに対する誤解が解けたところで、その開発の歴史を振り返っていきます。

*2-3:https://ssl4.eir-parts.net/doc/6810/ir_material20/165945/00.pdf

オゾンはじめて物語

オゾンはじめて物語

Martin van Marum(出典:Wikipedia)

オゾンにオゾンという名前がつくはるか前に、オゾンを発見した人がいます。オランダの科学者、Martinus Van Marumは1785年に、酸素が詰まった空間で火花放電をすると「強い特異な臭い」がすることを発見しました(*3-1)。
今でもオゾンは酸素に電気を当ててつくっているので、オゾンの製法は200年以上変わっていないことになります。

ただこのときは、無臭の酸素が電気的な刺激によって臭いを発するようになったので、何らかの気体が誕生したことを確認しただけでした。
オゾンをとらえることもできていませんし、オゾンを有効活用する発想もありませんでした。

3O2→2O3を発見、オゾンと命名【1839年】

のちにオゾンと名づけられる気体の発見から54年後の1839年に、先述したシェーンバインが、水を電気分解して発生する気体をとらえることに成功しました。
シェーンバインは、ギリシア語の「嗅ぐこと」という意味のOzeinから、この気体をOzonと名づけました。
シェーンバインは、水のなかの酸素(O2)がオゾン(O3)になることも突き止めています。化学式ではこのようになります。

3O2→2O3(酸素がオゾンになる)
2O3→2O2(オゾンが酸素に戻る)

*3-1:https://www.metsoc.jp/tenki/pdf/1999/1999_02_0053.pdf

地球上空のオゾン層を発見【1880年ごろ】

地球の上空10~50kmあたりに、オゾンがたくさん存在するオゾン層があります。これを発見したのはフランスのM.JシャピュイやアイルランドのW.Nハートリーで、時代は1880年ごろです(*3-2、3-3)。

ハートリーは、太陽が発する紫外線が、地上に届くまでに大幅の減少することから、上空にオゾンの層があると推測しました。そしてC.ファルビとH.ボアソンが1912年に、オゾン層の存在を観測によって確認し、ハートリーの推測が正しかったことを証明しました。

オゾンは、酸素に紫外線を当ててもつくることができます。そして酸素に当たった紫外線は、その力を弱めます。

紫外線は多くの生物にとって有害な光線です。人の皮膚が長年にわたって紫外線にさらされると、DNAが損傷して細胞ががん化することがあります。オゾン層が1%減ると、世界で皮膚がんが年間16,000人増え、白内障による失明が年間10万~15万人増えるという試算があるくらいです(*3-4)。

少し壮大な話をすると、オゾン層ができたことで生物は地上で住めるようになりました。
27億年前に、水中のバクテリアが光合成で酸素をつくり、それが地球の空間を覆いました。その酸素が紫外線に当たってオゾン層をつくり、紫外線を大幅にカットして地上を安全な場所に変えました。それで海中の生物が陸上に進出できるようになり、人類は今も地面の上を歩いていられるわけです(*3-5)。

*3-2:https://kotobank.jp/word/Hartley%2CW.N.-1234854
*3-3:https://www.metsoc.jp/tenki/pdf/1999/1999_02_0053.pdf
*3-4:https://www.env.go.jp/chemi/uv/uv_pdf/02.pdf
*3-5:https://tenbou.nies.go.jp/learning/note/theme1_1.html

オゾン層が減っている【1980年ごろ】

オゾン層の発見(1880年ごろ)からちょうど100年後の1980年ごろ、オゾン層が減っていることがわかりました。地球規模の環境破壊は2020年代の今、深刻さを増していますが、オゾン層の減少はその「はしり」と考えることができます。

オゾン層を破壊していたのは、当時、エアコンや冷蔵庫、ヘアスプレー、電子部品の洗浄などに使われていたフロン、ハロン、臭化メチルでした。
フロンやハロンは地上では分解されず、オゾン層にまで達し、そこで強い紫外線に当たって分解されます。フロンやハロンが紫外線によって分解されると、塩素原子や臭素原子が放出され、それがオゾンを破壊してしまうのです。

このままオゾン層が破壊され続けると、地球は数十億年前の生物が住みにくい場所に戻ってしまいます。
そこで1985年に「オゾン層保護のためのウィーン条約」が、1987年には「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が提案され、フロンやハロンなどの規制が世界全体で進みました。
これらは、世界で最も成功している環境条約と呼ばれています(*3-6)。

*3-6:https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/ozone/law_ozone_outline.html

フランスで初めて水道水の殺菌にオゾンを使用【1905年】

現代の水道事業は、河川の水を浄化して給水する、という流れになっていますが、この方式は1800年代初頭のイギリスで発明されました。
産業革命が起きたイギリスでは、繊維工場で繊維を洗うキレイな水が大量に必要になりました。そこで、川の水をろ過して浄化して使うことにしました。
すると繊維工場は、そのキレイな水を市民に売ることを考えました。これが世界初の水道ビジネスとされています(*3-7)。

フランスも少し遅れて水道ビジネスに力を入れます。ナポレオン3世は1853年に、水道供給会社をつくりました。
そして1905年には、フランス・ニースで画期的な水の浄化法が導入されました。
そうです、オゾンの利用です。
オゾンで殺菌して水道水をつくる方法は今も世界各国で行なわれていますが、その原形は100年以上前につくられていたわけです。

エビアンやコントレックス、シャテルドンなど、フランス産のミネラルウォーターが世界中で人気を博しているのは、168年(=2021年-1853年)の水ビジネスの歴史のたまものといえそうです。

*3-7:https://pub.nikkan.co.jp/uploads/book/pdf_file4d3f790ab1e0e.pdf

日本のオゾンの産業利用の歴史

日本のオゾンの歴史も意外に古く、1876年には東京などでオゾンを観測しています。そのころは「阿巽」という漢字を当てていました。
また日本の南極昭和基地は1982年に、オゾン層の量が減っていることを観測していて、これは「オゾン層保護のためのウィーン条約」(1985年)の3年前のことなので快挙といってよいでしょう(*4-1)

ここからは、日本の産業界がオゾンをどのように利用してきたのか確認していきます。

*4-1:https://www.metsoc.jp/tenki/pdf/1999/1999_02_0053.pdf

住友はオゾン発生機のパイオニアを自負【1974年】

住友はオゾン発生機のパイオニアを自負【1974年】
日本オゾン協会は法人会員をランクわけしていて、法人会員Aは7社しかありません。
そのうちの1社である住友精密工業は、自社をオゾン発生機メーカーのパイオニアであると宣言しています(*5-1、5-2)。
同社は1974年からオゾン発生機の製造・販売を開始しました。

住友精密工業が手がけるのは、家庭用などの小型のオゾン発生「器」ではなく、産業用の大型のオゾン発生「機」です。

また、機械だけでなくオゾン・システム全体も売っています。例えば、プールや水族館の大量の水を消毒するには、その水にオゾンを当てなければならずその場合、給水管や配水管とオゾン発生機をドッキングさせる必要があります。それらをまとめて販売しているわけです。

住友精密工業のオゾン発生機は、プール、水族館、動物園、ビル、半導体工場、下水処理施設、浄水場、製紙工場、繊維工場などで使われています。

製紙工場では紙の原料になるパルプの漂白にオゾンを使っていて、住友精密工業の装置は国内初になります(*5-3)。
また、繊維工場での漂白工程におけるオゾン利用は世界初の取り組みでした。

オゾンの産業利用では洗うことがメーンになっていますが、住友精密工業は難分解性有機物処理という分野でもオゾンを使っています。
化学工場やゴミ処理場では、分解しにくい(難分解性である)うえに毒性がある有機物が発生します。住友精密工業は、オゾンを使った促進酸化処理技術で、難分解性有機物であるジオキサン、ダイオキシン、フェノール、シアンなどを分解しています。

*5-1:http://www.j-ozone.org/association/a008.html
*5-2:https://www.spp.co.jp/category/ozone/public/index.html

クボタは下水処理事業からオゾン・ビジネスに参入【1969年】

クボタは下水処理事業からオゾン・ビジネスに参入【1969年】
農業機械メーカーのクボタも日本オゾン協会の法人会員Aです。
クボタは1969年に環境事業に本格的に乗り出し、その流れのなかでオゾンにたどり着きました(*5-3)。

環境事業でのクボタの「初ヒット」は、し尿の処理でした。それまで嫌気性消化法という方法でし尿を処理していましたが、これだと腐食性ガスが発生し処理施設(プラント)が早く劣化してしまいます。そこでクボタは、いち早く酸化処理法によるプラントをつくり、この分野のトップメーカーになりました。

日本に高度経済成長の波がやってきて、バブル前夜の1980年代に入ると、し尿処理や下水道や上水道の普及も進んできました。特に上水道は普及率が90%を超え、そうなると国民は「安全な水」から「おいしい水」を求めるようになりました。

そこでクボタは1985年に、オゾンと活性炭を使った浄水システムを開発し、自治体の水道局に販売していきました。
クボタはこの浄水システムで「水道水の品質を飛躍的に高めた」と自負しています。オゾンで水をキレイにすることで、クボタはトップの座をより強固にしていきました。

*5-3:https://www.kubota.co.jp/innovation/evolution/water-solution/detail/detail.html

IHIは院内感染対策でオゾンを使った【1996年】

IHIは院内感染対策でオゾンを使った【1996年】
ロケットのIHIのグループ会社であるIHIアグリテックは1996年に、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌や緑膿菌などの感染が病院内で広がる院内感染対策に向けて、オゾンを使った製品の開発に着手しました(*5-4)。
以来IHIアグリテックは、SARSや新型インフルエンザなど、それまで見つかっていなかった新しい病源体に果敢に挑み続け、オゾンを用いたインフェクションコントロール(感染制御)技術を磨いてきました。

*5-4:https://www.ihi.co.jp/iat/news/2019/20200219.html

歴史と実績があったからコロナ禍ですぐにオゾンを使うことができた

歴史と実績があったからコロナ禍ですぐにオゾンを使うことができた
日本国民がコロナを心の底から恐れた最初は、2020年2月に横浜港に着岸した、豪華客船ダイアモンド・プリンセス号内での集団感染でしょう(*6-1)。

コロナ禍が社会問題になると、すぐにオゾン発生器が売れ始めました。そこに、オゾンでコロナを不活化できるというニュースが流れると、オゾン発生器の販売台数はさらに伸びました(*6-2、6-3)。

あるメーカーは、2020年夏にオゾン発生器の生産能力を5倍に増強したのに、それでも注文に追いつかず、2021年2月に生産能力をさらに倍にしました(*6-4)。

オゾンがコロナを不活化することが証明される前からオゾン発生器が売れたのは、コロナ禍前から病院や介護施設などで、インフルエンザウイルスやノロウイルスへの対策としてオゾン発生器が使われていたからです。インフルエンザやノロに効果があるなら、「コロナにも効果があるはずだ」と消費者が考えるのは自然な流れです。

そして「コロナにも効果があるはずだ」と考えたのは、医療従事者やメーカーの開発者も同じでした。それですぐに、オゾンがコロナを不活化することを証明する実験を行うことができました。科学者というものは、当たる確率が高い仮説があると、躊躇せず実験に取り組むものです。

コロナ禍がこれだけ深刻化、長期化すると、コロナを叩く製品をつくり続けることは、メーカーの社会的責務になります。それでメーカーは、生産能力の増強に大きな投資をして、その責務を果たそうとしています。メーカーの経営者が「投資しても大丈夫だろう」と思えたのは、オゾンの実績と歴史があったからでしょう。

オゾンは、ポッと出のラッキーなルーキーではなく、粛々と訓練を積みながら出番がくるのを待っていた実力派だったわけです。

*6-1:https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9410-covid-dp-01.html
*6-2:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO62004820Y0A720C2L01000/
*6-3:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62006830Y0A720C2L01000/
*6-4:https://www.chemicaldaily.co.jp/%EF%BD%89%EF%BD%88%EF%BD%89%E3%80%81%E3%82%AA%E3%82%BE%E3%83%B3%E7%A9%BA%E6%B0%97%E6%B8%85%E6%B5%84%E6%A9%9F%E3%82%92%E5%A2%97%E7%94%A3%E3%80%81%E6%9C%88%EF%BC%91%EF%BC%90%EF%BC%90%EF%BC%90%EF%BD%9E/

今日も新しい歴史がつくられている

ここまでオゾンの歴史を振り返ってきましたが、進化は今も続いています。
慶應義塾大学理工学部機械工学科、IHI、オタワ大学(カナダ)の3者は2020年10月、共同でオゾンを安定的に貯蔵する技術を開発したと発表しました(*7-1、7-2)。

*7-1:https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2020/10/7/201007-1.pdf
*7-2:https://www.ipc-ihi.co.jp/news/2018/20180831.html

慶応大やIHIなどがオゾンの安定貯蔵に成功

慶応大やIHIなどがオゾンの安定貯蔵に成功

出典:慶應義塾大学プレスリリース(https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2020/10/7/28-75589/)

オゾンは強い酸化作用や殺菌作用を持つうえに、環境に悪影響を及ぼさないことから、塩素系の消毒剤より優れているとみなされています。

しかしオゾンには、保存しづらいという欠点があります。オゾンは酸素に電気や紫外線を照射してつくりますが、時間が経つと酸素に戻ってしまいます。そのためオゾンは、殺菌する場所に発生器を置いて、殺菌する直前につくって使う必要がありました。
塩素系消毒剤なら1カ所の工場で大量につくってさまざまな現場に配布することができますが、オゾンはそれができません。

そこで慶応大学などは、オゾンをハイドレート化することにしました。
ハイドレートとは、水分子で「籠(かご)」をつくり、そのなかに別の分子を入れて結晶化することです。結晶化しているので、保存も持ち運びもできます。水分子の籠のなかに、オゾンの分子を入れて結晶化すれば、1カ所の工場で大量につくり、さまざまな現場に運ぶことができます。殺菌する場所で結晶を破壊すれば、なかのオゾンが飛び出てコロナを叩くというわけです。

慶応大学などは、オゾンハイドレートをつくる設備をつくり、オゾンハイドレートを生産しました。これは世界初の快挙です。
今後、実用化に向けてさらに研究を重ねるとしています。

まとめ~受難は開発の母

オゾンは数十億年前に地球環境を整えて、生物たちを地上に招き入れました。直近の100年間は、人間の汚いものをキレイにして、水をおいしくしてくれています。さらにその酸化力で、ウイルスや細菌を殺して人間を守ってきました。

そして今、全世界で人々の命を奪い世界経済を大混乱させているコロナに対し、有効な武器になっています。人類の創意工夫は、困難な状況にあるときに強化されます。

ワクチン接種が始まってもコロナ禍が収束しないことがわかった今、あらためて総合的な対策が求められています。コロナが変異株へと進化している以上、ワクチンも治療法も、そしてオゾン発生器(機)も進化していかなければならないでしょう。

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